ミシガン大学MBA日本人ブログ

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We did it!! / Blood Battleに勝利

こんにちは。GMBA Class of 2021のTSです。本日は、ミシガン大学を語る上では欠かせない「アメリカンフットボール」についてご紹介したいと思います。今年のミシガン大学Wolverineとオハイオ州立大学Buckeyesとの「Blood Battle」を振り返りながら、全米屈指のチームを有するミシガン大学の魅力を知っていただく機会になれば幸いです。

 

はじめに

2021年11月27日は、ミシガン大学Wolverineにとって歴史的な一日となりました。コロナの影響もあり2年ぶりの開催となった「Blood Battle」でしたが、宿敵オハイオ州立大学Buckeyesとのリーグ最終戦を42対27で制し、Big Ten Conference East Division優勝を決め、Big Ten Conference優勝決定戦 (※1) に駒を進めました。

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(※1) ビッグ・テン・カンファレンス(Big Ten Conference, Big Ten)は、アメリカ合衆国のカレッジスポーツのカンファレンスのひとつ。主に中西部の大学で構成されています。

こちら、当日の試合内容がダイジェストとして纏まっております。時間がない方は、これだけでも見ていっていただけますと幸いです。

 

オハイオ州立大学戦について

米国ではカレッジ・フットボールが老若男女問わず人気がありますが、ミシガン大とオハイオ州立大の一戦は、全米で最大のライバル校対決(※1)として定評があり、「The Game」や「Blood Battle」と呼ばれています。その歴史は古く、初対戦は1897年10月16日までに遡り、1913年から5年間対戦がありませんでしたが、1918年に復活後は、第2次世界大戦中でも中断されることはなく、昨年まで116回目の対戦を重ね、今年で117回目を迎えました。通算成績では、ミシガン大が58勝51敗6引き分けとリードしているものの、2010年以降の10シーズンは、1勝9敗と一方的な敗戦となっており、2012年以降は8連敗を喫しています。毎年、レギュラーシーズンゲームの最終戦で対戦しており、奇数年がミシガン大のホームで、偶数年がオハイオ州立大のホームで開催されており、今年は12月27日にミシガン大のホームである「Michigan Stadium」(※2)にオハイオ大を迎えました。

(※1) 2000年には、スポーツ専門局のESPNが「全スポーツを通じた、米国で最大のライバル」1位(2位は、ボクシングのモハメド・アリ対ジョー・フレージャー)と認定しました。また、2006年に両校が11戦全勝で激突した試合は 「Game of the Century 」として全米の記憶に残る名勝負とされています。(オハイオ州立大が42対39で勝利)。それほど、両者の一戦は全米中が注目するイベントといえるのではないでしょうか。

(※2) 人口12万人という小さな街アナーバーに、収容人数11万人という全米最大の巨大なフットボール用の「Michigan Stadium」、通称「The Big House 」があります。

 

各チーム紹介

ここで、各チームの簡単な紹介をさせていただきます。

・ミシガン大学

開幕時では、トップ20位にすらランクされておらず世間からの期待は薄かったミシガン大ですが、カリスマ的指導者Jim Harbaugh監督の下、リーグ開幕後、徐々に実力を開花しながらランキングを5位まで上げてきました。ここ数年はQBに恵まれていませんでしたが、テキサス工科大学から移籍してきたQB McNamara (#12)を中心として、RB Hassan Haskinz(#25)、RB Blake Corum(#2)、RB Blake Corum(#3)など強力なランアタック陣を有しています。また、守備はハインズマントロフィー候補であるキャプテンのDL Hutchinson(#97)を中心として伝統的にラインプレーが得意なビッグ10で一目置かれる存在と言えます。リーグ途中では、ミシガン州立大学に33対37でまさかの負けを喫しましたが、ペンシルバニア州立大学には、アウェイでリードされた状況から、21対17で逆転勝ちするなど、今年は何かやってくれそうな予感がします。9勝1敗でオハイオ州立大学をホームで迎え撃ちます。

・オハイオ州立大学

ハインズマントロフィー最有力候補QBであるC.J. Stroud(#7, Freshman)を中心として、WRのOlave(#2, The Houston Texansが指名),  Wilson(#5, New Orleans Saintsが指名), Simth-Njigba(#11, Sophomore), RB Henderson(#32, Freshman)などのスタープレーヤーを擁するなど、全米随一のオフェンスとの評判高く、今季のフットボール界でも最も注目されているチームです。リーグ戦でミシガン大学を下したミシガン州立大学を相手にも、その圧倒的な火力を披露し56対7と圧勝しました。但し、パデュー大戦では、QB O’Connellに計390Yのパス、4TDを許すなどパスディフェンスに一抹の不安が見られます。現在のランキングは2位で、Big Ten Conference優勝最有力候補として、3年連続のタイトルゲーム出場を目指します。

 

試合ハイライト

二年ぶりの開催となった「Blood Battle」。当日のミシガン・スタジアムは、強い風を伴って雪が断続的に降る厳しい状況(マイナス3℃)にも関わらず、111,156人の超満員。会場は、ほぼミシガンカラーの黄色に染まり、誰もが勝利を信じて応援に熱が入ります。ファンが生み出すその騒々しい雰囲気は、相手チームにとっては最もやりづらく、雪のコンディションも相まって地の利はミシガン大にあります。永遠のライバルを相手に、積年の鬱憤を晴らすに千載一遇のチャンスです。

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それでは、Fox College FootballのTwitter動画を交えながら、試合ハイライトにいきましょう。

 

1クオーター(7対3)

ミシガン大の先行での試合開始となりました。序盤から、RB Haskins(#25)を中心に得意のランアタックを仕掛けていきます。そして、開始から約10分、残り15Y地点からWR Henning(#3)への華麗なリバース・プレーが決まり、10プレーでの先制点を獲得し、最高の立ち上がりを演出します。

その後も、果敢に敵陣に切り込むものの、QB McNamara (#12) のパスは、無情にも、エンドゾーン付近でDB Shaw (#17)にインターセプトされてしまいます。1St Downで追加点の機会だっただけに痛恨のミスといえます。

この後、オハイオ大が自陣に攻め込んできますが、DL Hutchinson(#97)が、シーズン11個目となるサックを演出。ミシガン大DF陣がホームの意地を見せ、オハイオ大に流れを渡しません。オハイオ大はそのままFGを強いられ3点獲得。

 

第2クオーター(14対13)

降り続いていた雪が小康状態に。次第にオハイオ大のエアーアタックが功を奏しはじめStroud(#7)の正確なパスがどんどん決まっていきます。残り時間9分過ぎ、Stroud(#7)からWR Wilson(#5)へのこれ以上の場所はないという程の素晴らしい25Yのピンポイントパスが炸裂し、この日はじめてオハイオ大がリードすることになります。流れがオハイオ陣営に傾きつつあります。

しかし、ここで相手に流れを握らせないのが今年のミシガン大です。ホームの応援を背に、すぐさま反撃に転じます。残り4分30秒、QB McNamara (#12)から、持ち前の俊足を生かし相手DBを置き去りにしたWR Johnson(#6)への37Yのパスが決まり、敵陣2Yまで侵入します。そのまま、RB Haskins(#25)をダイブする形でTDランを決め、再びリードを奪い返します。

この後、ミシガン大に再び攻撃チャンスが移りましたが、WR Johnson(#6)に痛恨のキャッチミスが生じ、追加点のチャンスを逃してしまいます。そして、オハイオ大は、前半終了間際にFGで3点獲得し点差は1点に。本当に手に焦る勝負。まだまだ試合の行方はわかりません。フィールドにはイエローフラッグが飛び交い、小競り合いまで発展する場面も。また、ロッカールームへの帰途でも両チームの小競り合いが見られ、全米を代表する因縁のライバル同士ならではの緊迫した風景となりました。

ハーフタイムには、応援に駆け付けたDJ Skeeのより、Mr. Brightsideの曲をミシガンスタジアム全員で熱唱。これ以上ないほどに盛り上がります。

 

第3クオーター(28対13)

後半は、オハイオ大から攻撃がはじまりますが、1st Downを奪えないまま、ミシガン大に攻撃権を渡してしまいます。そして、残り時間7分、RBへの55Yのロングランで一気に敵陣13Yに攻め込むと、そのまま、RB Haskins(#25)にヒッチ系のパスがきれいに通り、この日、2つめとなるTDを決めます。21対13。

すぐさま反撃に出たいオハイオ大ですが、ミシガン大のOLのプレッシャーに耐え切れず、行き場を無くしたStroud(#7)にDL Hutchinson(#97)が、この日2個目となるサックを見舞い、会場は大いに沸きます。このプレーを契機として、ミシガン大へ流れが傾きはじめます。

WRとDBのいざこざから、両校の緊張感もピークに達し乱闘騒ぎに。まさに「Blood Battle」と呼ぶにふさわしい両校の気迫を感じます。

残り時間6分、オハイオ大DB Brownの反則から敵陣1Yまで進めたミシガン大は、RB Haskins(#25)がこの日、3つめとなるTDを決めます。Erick All(#83)のブロックが素晴らしいですね。28対13。

残り時間2分、何としてもTDを決め、点差を縮めたいオハイオ大でしたが、今日絶好調のDL Hutchinson(#97)がこの日3個目となるQBサックを仕留めます。破竹の活躍。シーズン通期13サックは、長い歴史を持つミシガン大フットボール部の数字として最多の記録だそうです。ハインズマントロフィーにまた一歩近づきました。

残り時間1分、ここでオハイオ大が意地を見せます。Stroud(#7)からWR Simth-Njigba(#11)へのスーパーパスが炸裂。この場面で、この場所に投げ、しかも片手でキャッチするなど、解説者も「Insane catches」と興奮冷めません。敵ながら本当に天晴です。なんとか、第4クオーターに望みを繋ぎます。

 

4クオーター(42対27)

第4クオーターに突入し、パスで敵陣に迫りつつドライブを継続するオハイオ大は、4th ダウンコンバージョンを成功させます。RB Henderson(#32)が1YのTDランを決め、再び28対20。王者の粘りを見せます。最後まで目が離せません。本当にハラハラドキドキ、心臓に悪い試合です。

しかし、残り時間9分強、今年のミシガン大は一味も二味も違いました。相手に迫られようとも、決して試合の流れは決して渡さない。ここで、RB Haskins(#25)がこの日、4つめとなるTDを決めます。再び35対20と、15点差が付き、ミシガンスタジアムのボルテージはいよいよマックスに。

しかし、残り時間9分弱、オハイオ大も最後の意地を見せます。Stroud(#7)からWR Olave(#2),  の40Yのミラクル・キャッチに続き、Stroud(#7)から無情にもHutchinson(#97)の差し出した手をすり抜け、RB Henderson(#32) へのスクリーンパスTDが決まり、35対27。再び8点差に。

残り時間は5分弱、Wolverinesは得意のランで時間を削りながら敵陣を目指します。オハイオ大の反撃のチャンスがどんどん薄らぐなかで、ここぞとばかりにミシガン大は追加TDを奪います。RB Haskins(#25)が、機関車のごとく敵陣を突破し、5つめとなるTDを決めます。再び42対20。会場はHaskinsのプレーに惜しみない声援を送ると同時に、揺るぎない勝利を確信します。

そして、タイムアップ。ホームのミシガンスタジアムを埋めた10万を超える観衆は、勝利後、雪の舞うフィールドになだれ込んで埋め尽くし、待望の勝利を喜びました。Haskins(#25)は、5TD、Carries28回、Rush Yards 169Yを挙げる超大活躍。ミシガン大としても、6TD、Carries41回、Rush Yards 297Y獲得、という結果となりました。

 

結び

「Blood Battle」いかがでしたでしょうか?ミシガン大学は、8年間、宿敵であるオハイオ州立大学に連敗を喫していましたが、その連敗記録がこの勝利で途切れることになりました。また、この試合は16百万人がライブで観戦し、Fox Football Channellのシーズンを通じて最高の視聴者数を稼ぎ、歴史にその名を刻むことになりました。いかに、「Blood Battle」が、全米、いや世界中から注目されているかを表す数字だと思います。この後、ミシガン大は1997年以来24年振りの全米優勝を目指します。是非、応援よろしくお願いいたします。

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Go Blue!!