ミシガン大学MBA日本人ブログ

ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネス在校生、卒業生の日頃の生活や学習内容などを紹介していきたいと思います。

Social Venture Fund @ Ross

Full-time MBA2のAです。2年目で少し心に余裕が出てきて気がつきましたが、Ann Arborは秋も最高です!!

 

今回は私が所属しているSocial Venture Fundについてご紹介したいと思います。

  1. Social Venture Fundとは?
  2. SVFの活動内容は?
  3. どのような方にオススメ?

 

1. Social Venture Fundとは?

インパクト投資」を行う学生ファンドです。意外にも?Rossがアメリカで初の学生主導のインパクト投資ファンドだそうで、2009年にローンチし、10年以上の歴史があるファンドになります。アーリーステージのスタートアップ(資金調達$5M以下がなんとなくのイメージです)に対して、チケットサイズは$20-50Kで、年に1-3社程度投資を行っています。ロケーションは特にしばりはありませんが、やはり北米が中心となります。フォーカス領域はHealthcare, Community Development, Education, Climateの4つで、私はClimate Circleに所属しています。

ポートフォリオはこんな感じです。

 

2. SVFの活動内容は?

大きく3つの活動を行なっています。

①Fall: Education Session

②Fall: Sourcing & Screening

③Winter: Due Diligence or Portfolio Consulting

 

①Fall: Education Session

キックオフ後、SVF全体でEducation Sessionがはじまります。歴史があるだけあり、かなりstructuredされた全7-8回ほどのセッションで以下の項目をカバーします。

  1. Social Impact Ecosystem:ソーシャルインパクトとは何か?ということについて外部やSVFの定義を通じて理解を深めます。
  2. Impact Investing 101:インパクト投資とは何か?ということについて目的や事例、フレームワークなどについてインプットします。
  3. Market sizing:架空のスタートアップのケースを通じてTAM, SAM, SOMを算出するトレーニングを行います。
  4. Financial Modeling:架空のケースを通じてFinancial Statement Proforma, Sensitivity Analysis, IRR & MOIC Analysisを行うトレーニングを行います。また投資ステージ(Angel Investors, Seed Round, IPO etc.)やFundraising Option (Convertible Note, SAFE Note)といった業界知識についても学びます。
  5. Social impact Analysis:既存の外部フレームワークを応用して作成したSVF独自のImpact Scorecardを使って、架空のケースのインパクト分析のトレーニングを行います。どうやって社会的インパクトを定量的・定性的に評価するのか、SVFのSignature Sessionになります。

各セッションは、オンライン教材で事前に予習をし、全体ミーティングで講義&ディスカッション形式でカバーしていくスタイルでした。学生がすべてのコンテンツ制作と進行を行なっており、事前のオンラインでの予習は、なんとCousera上にClosedなコースとしてEducation materialが整理されていて、全体ミーティング前に予習する仕組みになっていたりと、内容と教育体験の質が高くとても驚きました。経験が全くなくても理解できるようなレベルに設定されており、私自身、去年はどの授業よりもこのEducation Sessionが一番勉強になり、興味があった分野だったのでかなり楽しむことができました!(ボリューミーでしたが、、)

 

②Fall: Sourcing & Screening

上記のEducation Sessionと並行して、4つのサークルごとに投資先のソーシングとスクリーニングを行います。2021年はSVF全体で200以上の会社をスクリーニングをし、最終DDに進む8社を選定しました。プロセスとしては、以下となります。

  1. さまざまなリソースからスタートアップを探し、FounderからSVFからの資金調達の興味の確認とCorporate Deckをもらう。
  2. SVF独自のCriteriaを用いて、各サークル内のsmall podでFounder Callに進むかどうかを判断
  3. Founder Callを行い、サークル内でSVF全体プレゼンに進むかどうかを判断
  4. SVF全体プレゼンをして、SVF全体で最終DDに進むかどうかを判断

このプロセスを通じてClimate-tech関連のトレンドをリサーチしたり、Pitchbookを活用してマーケットや個社を分析したり、FounderとのCallを進行したりと、非常に良い経験になりました。私はClimateサークルに所属していましたが、Climate techといってもAgriculture, Circular economy, water managementなどなど幅広いので、少ない知識でニッチなソリューションを判断するのにとても苦労しましたが、もう少しフォーカスを絞った方がいいのではないかな〜とか、ファンドの運営というものを考えるよい経験にもなりました。

 

③Winter: Due Diligence or Portfolio Consulting

Fallで選定した8社のDDを1ヶ月程度かけて行い、最終投資先を決定していきます。改めてグループを組み直し、グループ内でFinancial担当、Impact担当・・など役割分担を決めてDDを進めていきます。私は市中のAir Qualityを低コストでモニタリングするClean-techのImpact Analysisを担当しました。Education Sessionで習ったフレームを使って進めていくわけなのですが、Air Quality改善のインパクトのどの項目をトラッキングしていくのか、どうやって定量化するのかなど、かなり試行錯誤しましたし、英語でのFounderからのヒアリングやチームメイトとのディスカッションにかなり苦戦しました。。結果わたしたちのグループは主にFinancialsを理由に「投資しない」という判断をくだしましたが、ソーシングから最終プレゼンまで実践を通してインパクト投資というものを体験でき、とても貴重な機会となりました。

2022年は最終的にWheel The WorldというCommunity Developmentサークルが選定した会社1社に投資を行いました。またDDチーム以外にもポートフォリオコンサルを行うグループもあり、こちらでは過去に投資したスタートアップの課題解決を行うというものになります。

 

3. どのような方にオススメ?

ここまでに記載したとおり&以下の図の通り、かなりリッチな教育体験ができると思いますので、この分野に興味のある方には非常におすすめしたいです!Rossには他にも様々なファンドがありますので、SVFは特にソーシャルインパクト、インパクト投資に興味がある方にとっては非常にいいプログラムになるのではないかなと思います。

 

このブログを読んでRossのソーシャルインパクトに興味をもってくださったらうれしいです。ご質問あればぜひコーヒーチャットのご依頼をしてきてくだいませ!