ミシガン大学MBA日本人ブログ

ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネス在校生、卒業生の日頃の生活や学習内容などを紹介していきたいと思います。

(課外活動) Zell Lurie Commercialization Fund紹介

こんにちは、Full-Time MBA1年生のJ.Tです。今回は私が入っているZell Lurie Commercialization Fund (ZLCF)について紹介したいと思います。

Student Investment Fundとは?

ZLCFはRossの数あるStudent Investment Fundの一つです。Student Investment Fundとは実際に大学の資金で投資を行う課外活動で、投資対象の業界やフェーズに応じて、下記のように複数のファンドがあります。

  • Zell Lurie Commercialization Fund: ミシガン大学発祥の技術を基にしたSeed~SeriesAのスタートアップが対象
  • Wolverine Venture Fund: SeriesA以降のスタートアップが対象
  • Social Venture Fund: Social Impactのある企業を対象
  • Real Estate Fund: オフィス・商業施設等の不動産を対象
  • International Investment Fund: インド等の新興国の中小企業を対象

どのファンドも教授がメンターとしてついてくれ、単位も取得できます。週1-2日2時間程度のミーティングがあり、それなりのタイムコミットメントが要されますが、実際の企業のデューデリジェンス(DD)を経験でき、また、ファンドがコネクションを持つスタートアップやVCのインターンの紹介も多くあり、非常に有益なアクションラーニングの機会です。

入学直後に各ファンドのInfo Sessionがあり、9月中旬にResume&Essay提出〆切→下旬に複数回の面接を経て、通過者のみメンバーとなれる、というプロセスになっております。1つのファンドしか応募できない&入学直後の多忙な時期に選考&競争率も高い(ファンドにもよりますが、ZLCFは3倍程度)ので、興味のある方は入学前に調査しておくことをお勧めします。

 

Zell Lurie Commercialization Fund (ZLCF)での活動

私はメーカー出身で卒業後は研究段階でまだ市場も無いような新技術の商業化やCorporate Venture Capitalに興味があったので、数あるファンドの内、Seed段階で技術力のあるスタートアップを投資対象とするZLCFを選びました。ZLCFの特徴としては、MBAだけでなく、Engineering School等のPhDの学生が1/3程度ファンドメンバーにいることです。投資対象が技術ヘビーなので、Productを理解できる専門性の高いPhDの学生がDDに入ることでMBA生と上手く相互補完できるようになっております。

9-10月はEducation SessionがメインでVenture Dealsというタームシートを解説するテキストを副読本にVC投資とは何か?を教授&2年生がレクチャーしてくれます(ちなみに共著者のJason Mendelsonはミシガン大学ロースクール卒、Go Blue! )。また、現役のベンチャーキャピタリストを招いたセッションもありました。

11月以降はミシガン大学と繋がりのあるスタートアップ(業界はHealtchare, Mobility, EdTech等様々)が毎回ピッチに来て、DDに進むべきかをファンドメンバーで議論、GOサインの出たスタートアップは2年生リーダー+1年生3-4名でDDチームが組成され、1か月程度DDを行い、投資レポートを作成、ファンドメンバーにサマリーをプレゼン、投資是非を判断、という流れでした。

1年生は最低1回はDDチームに入れるチャンスがあり、私は運よく2件のDDを担当できました。内、1件はRefraction AIというミシガン大学ロボット工学の教授が創業した自動運転デリバリーロボット企業のSeed Roundが対象でした。2年生のDDリーダー2名+Fordで働くWeekend MBA生1名+Computer ScienceのPhD1名+私から成るDDチームでした。Product, Market, Team, Financial等の分析すべきパートをメンバーで分担し、 私はMarketを担当し、経営陣、顧客、他のVCへのインタビューを参考に、市場規模推定や競合環境、ビジネスモデル、拡販戦略等の分析を行いました。コロナ禍でフードデリバリーの需要が激増し、SoftbankがNuroに$5B近くのバリュエーションを付ける等、自動運転ロボットへの関心が高まっている時期だったので、面白かったです。2年生の見事なリードのおかげで実際に投資に繋げることができました。今回の調達ラウンドはTechCrunchでも記事になっており、スタートアップ投資の醍醐味を味わうことができました。

 

(おまけ) VC Pitches and Pizza

スタートアップ投資に関連したアクションラーニングの機会を思い出したので、追記します。CDO(Career Development Office、Rossの就活支援センター)主催で現役ベンチャーキャピタリストの前でピッチをし、最優秀者はピザを貰えるというイベント(希望者は誰でも参加可能)の案内があり、参加しました。関心のあるトレンド/業界/スタートアップを取り上げて、Investment Thesis~Investment Recommendationをプレゼンするのですが、ZLCFである程度親しんだおかげで自分なりに納得のいくプレゼンができました。案の定Q&Aで現役キャピタリストからの鋭い質問に爆死し、ピザは貰えませんでしたが、MBAならではの貴重な機会でした。

 

結論

入学前にM&Aに携わる機会はありましたが、スタートアップ投資の経験は無かったので、Term SheetやCap Tableを基礎から学び、座学で学んだことを実際のDDで血肉化できるZLCFでの1年は有益な経験でした。ZLCFのみならず、Student Investment FundはRossのアクションラーニングの好例かと思いますので、興味ある方はぜひ挑戦してみてください!