ミシガン大学MBA日本人ブログ

ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネス在校生、卒業生の日頃の生活や学習内容などを紹介していきたいと思います。

Rossの授業紹介!~Finance編~

皆さん再びこんにちは。FTMBA 2年生のShokoです。
今回はFast Track in Financeというプログラムと絡めて、自分が1年目で受講した主要なFinanceの授業を紹介したいと思います。

 

Fast Track in Finance(以下FTF)とは、Ross特有のFinanceの選抜コースの名称です。一学年400名強の学生のうち、夏休み中にAccountingを免除してもらうためのオンラインコースとFinanceの基礎を学ぶオンラインコースにて所定の成績を修めた約50名の学生が受講を許可されます。なおFTFの中には、学生のバックグラウンドに応じ、First TrackとSecond Trackの二つの選択肢があります。筆者はAccounting畑出身ではあるもののFinanceのバックグラウンドはほぼなかったため、比較的基礎から学べる方のFirst Trackを選択しました。よりFinanceの経験のある人はSecond TrackでいきなりValuationから始めるのも手です。ちなみに例年、日本人学生の受講比率は高いです。同じクラスの学生のレベルも高いので、今後Rossに入学する人には是非挑戦することをお勧めします(入学前の夏休みに自由な時間が減るのがややネックですが・・・苦笑)。

FTFの詳細はこちら

 

(1)FIN 513 – Financial Analysis(財務分析)

FTFのFirst Trackで最初に受講する授業で、1年目のFall Aタームに履修しました。以下のような、Valuation(企業価値等の評価)に至るまでのファイナンスの土台を体系的に学びました。

・NPV法やIRR法を用いた投資の意思決定手法

・事業に伴うフリーキャッシュフローの計算とEconomic Balance Sheet(Accounting Balance Sheetとの比較)

・株式価値評価

・債権価値評価

・WACC(加重平均資本コスト)の基礎概念

・ポートフォリオ理論とリスク、CAPM(資本資産価格モデル)

・資本構造と企業価値評価

これら基礎理論をベースに、Fall BタームにてFTFコース必修科目の上級編であるValuationを受講することでValuationの全体像を理解するという流れになっています。

 

(2)FIN 615 – Valuation

こちらのコースではファイナンスの肝であるValuation(企業価値等の評価)の具体的な手法について、ケースを用いた演習を行いながら実践的に学びました。主なカバー範囲は以下の通りです。

・Valuationの体系と技術

・DCF(Discounted Cash Flow)法によるValuationの手法

・Multiple法による簡便的なValuationの手法

・場面別のValuationのポイント

・Private CompanyのValuation

・買収の評価/Cash Offer対Stock Offer

・LBO(Leveraged Buyout)を用いた企業・事業買収のValuation

このコースでは7週間の講義期間中に5回、ケースと添付資料の情報を元に事業・企業価値の算定を行い、それを役員向けの報告書にまとめるという本格的な課題が課され、ほぼ毎週末、ほぼ土日返上(泣)でアメリカ人・中国人のチームメイトと議論しながら課題に取り組むことになりました。ヒントも限られる中、チームメイトと議論しながら手探りで何とか仕上げることの繰り返しで、じれったい思いもしましたが、すべてをやり遂げた今となっては本当に感慨深いです。一緒に取り組んだチームメイトとは今も戦友的な絆を共有していると思っています。

なお、この講義の受講によりFTFの必須科目は修了です。これ以降はこのValuationの基礎体系をベースにFinanceの応用科目を学びながら、学んだスキルを各自が目的に応じて自在に使いこなせるレベルに昇華させていくことになります。

 

(3)FIN 575 – Financial Modeling <選択科目>

FTFプログラムで早期にファイナンスの肝であるValuationを履修したので、これを活かしてFinanceを自分の強みにすべく、Winter Aタームでは引き続きFinanceの選択科目を履修しました。この科目ではValuationの内容のおさらいにいくつかの応用事項を加えながら学び、最終プロジェクトでは、投資銀行の行う業務の中核といえるLBOモデル(借入金を活用した企業買収におけるValuation)を完成させる(ただし基礎情報は与えられている)ことにより、ファイナンスの知識が実践の場でどのように利用されているかの大枠を理解することができたと思います。企業買収の裏で投資銀行などがどんなことをしており、どのような前提の下でモデルが組まれ、どのような計算と議論の下で提言が行われているのか、その大まかなイメージを持つことができたことは個人的に意義深かったです。

 

(4)FIN 621 – Corporate Financial Policy <選択科目>

マーケットは完全ではない、つまり常に何らかのFriction(税金、取引コスト、倒産コスト、情報の非対称性、Agency friction)が存在するという前提に立ち、企業経営者・Debt holder・Equity holderの目線に立って、どのようなFinance方針を取るべきかを考える授業です。一つ一つの講義に実際の企業のケース(Apple、Intelなど)を挟みながら進められるため、机上の空論に留まらず、現実の課題として学べるのが面白いと感じました。一方で、ほぼ毎週のように授業の予習としてチームでのCase Write-upが求められるため、それなりにFinanceの基礎を身に着けておかないとチームへの貢献が難しくなります。上記Valuation等の内容を理解した上で受講するのがお薦めです。

 

以上が私が1年目で受講したFinance科目です。

Rossには他にも様々なFinance科目があります。興味がある方はRossが提供する以下のページをぜひ参考にしてみてください。

Course Descriptions

 

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