ミシガン大学MBA日本人ブログ

ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネス在校生、卒業生の日頃の生活や学習内容などを紹介していきたいと思います。

Rossの授業紹介!~Strategy編~

こんにちは。FTMBA 2年生のAです。年末年始で、受験生の皆さまは、2nd出願に向けて多忙な時期を迎えているかと思います。今回は、説明会やCoffee Chatでよく質問を受ける「おすすめの授業」について、Strategyの領域からご紹介させて頂きます。

過去に、必修科目やMarketing、Financeの選択科目も紹介されておりますので、こちらもご参照下さい。

japanmichiganross.hatenablog.com

 

(1) Strategy 669 - Advanced Competitive StrategyCheng Gao教授)

こちらは必修のStrategy 502の授業の延長線上のイメージで、比較的新しいかつ様々な領域のケースを用いて、更に幅広いBusiness Strategyを学ぶ授業です。Gao教授はHBS出身で、本授業も、Clay Christensen教授の有名なHBSの授業である、Disruptive innovation and general managementがベースになっています。

授業はケースディスカッション形式で、Gao教授のファシリテイトのもと、ケースの状況・課題把握から、取るべき戦略の選択肢とプロコン整理、個々の意見に対する賛成・反対と、多くの学生の意見を取り込みながら議論が進んでいきます。最後はケースの背景にあるStrategyの理論やフレームワークを踏まえて、教授による解説で締められるのですが、代表的な理論・フレームワークは以下のようなものがあります(詳細説明は割愛させて頂きます)。

  • Disruptive innovation theory
  • Jobs-to-be-done framework
  • Ambidextrous Strategy/ Culture management
  • Organic and inorganic growth strategies

Gao教授は非常に熱心で、学生からのフィードバックやビジネスのトレンドを踏まえて毎年扱うケースを見直しているのですが、直近で扱われたケースを一部ご紹介します。

  • Under Armour
  • Netflix
  • Marcus by Goldman Sachs
  • HomeAway
  • General Mortors
  • Walmart
  • US Army / Air Force

大企業、スタートアップ、ミリタリー、Non profitといった様々な組織・業界を扱うことを意識されており、Army/ Air Forceのケースではミリタリー出身の学生が過去の経験を踏まえて組織のカルチャーについて熱く語るなど、多様なバックグランドを有する学生が集まるビジネススクールならではの授業だと感じました。

Gao教授の議論の進め方の上手さ、幅広い意見を歓迎するスタンスも含めて、学生からの評判が非常に良い授業です。

 

(2) Strategy 672 - Strategies for GrowthAneel Karnani教授)

上々企業の究極的なゴール=株主価値の最大化、という前提に立ち、株主価値を最大化するための企業の成長戦略の考え方を学ぶRossの名物授業の1つです。企業の成長を方向性(Market penetration, Globalization, Vertical integration, Related diversification, Unrelated diversification)と方法(Organic growth, Alliances, M&A)に分解したうえで、「戦略においてより本質的なのは方向性である」として、特に5つの方向性にフォーカスした内容になっています。

本授業の一番の特色は、何といってもKarnani教授の授業スタイルです。ケースディスカッションとその背景にあるフレームワークの解説、という大枠は他のStrategyの授業と同様ですが、学生の発言に対し常にKarnarni教授の鋭い指摘が入るため、単に意見を述べるだけでなく、反対意見や矛盾点のコメントに対して自身の立場をサポートしていく必要があります。コールドコール(教授が回答する学生を指名する)もあり、表層的・曖昧な表現で逃げようとすると厳しいコメントが入ったりもするため事前準備・ケースの読み込みが欠かせません。ただ、教授の指摘は常に的確で、選択科目の中でも珍しい秋学期通期で毎週金曜日に3時間半、という長丁場のスケジュールで、1つのケース・コンセプトについて徹底的に深掘りをしていく中で、多くの新しい視点・本質的な考え方を身に付けることができました。

個人的には、これまでで最も印象に残っているクラスで、Rossに入学されたらぜひ受講を検討していただきたいです。最後に、そんな授業を代表するような、印象に残っている教授の発言をご紹介します。

  • Strategyの本質は不確定性がある中でのControvertial・Trade-offな意思決定であり、こでいう正しさは、最も成功する可能性が高い判断。正しい判断が必ずしも成功に繋がるとは限らないが、だからこそ競争力の源泉になる。

Strategyにおいて1つの絶対的な正解はない、というのが、最初から最後まで一貫したメッセージであったように思います。成功している企業のやり方が正しい、というのはStrategy関連で頻繁に起こる誤解・バイアスであり、そういったものを見抜く力が重要である、いうことが教授の授業スタイルにも繋がっている風に感じています。

  • もし新しければ新しいケースほど価値がある、ということであれば、今皆がMBAで学んでいる知識はすぐに陳腐化し、数年後に卒業するMBA生が学んだ内容がより優れている、という結論になってしまう。この講義で皆に学んでほしいのは、成長戦略に関する普遍的な考え方・フレームワークであり、コンセプトを学ぶのに最も適していると思われるケースを選んでいる。ケースの新しい・古いはそこには影響はないし、常に本質に目を向けてほしい

こちらは、学生からの質問 -「なぜ扱うケースの多くが90-2000年代前半なのか。もっと新しいケースが良いのではないか」に対するKarnani教授の返答です。本授業のみならず、ビジネススクールで学ぶべき内容についても考え直させられるコメントでした。

 

私からのStrategy領域の授業紹介は以上になります。その他の分野でも、沢山の良い授業がありますので、在校生や卒業生から話を聞く際には、ぜひお気に入りの授業を聞いてみてください!