ミシガン大学MBA日本人ブログ

ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネス在校生、卒業生の日頃の生活や学習内容などを紹介していきたいと思います。

【MAP】某US Tech企業と働いてみました

Class of 2019のNaotoです。明日から2年目が始まりますが、遅まきながら1年目の目玉であるMAPについて振返ろうと思います。

Full-time MBAのMAPでは100以上のプロジェクトの中から希望を出すことができます。自分は、AI関連のプロジェクトを多数希望した結果、US techの某大手企業のAI&Cloud Business Development teamと働くことになりました。チームメイトは、アメリカ人(金融出身)・アメリカ人(ヘルスケアテック出身)・中国人(コンサル出身)・中国人(ヘルスケア出身)・ウクライナ人(エレクトロニクス出身)・自分(TMT出身)という構成で、各自が自分の思いをしっかり持っており、時に調整に骨を折りつつもやりがいのあるメンバーでした。

 

プロジェクトでは、AI, Cloud, Machine Learning(ML)を活用したソリューションにおける新しいプライシング戦略・パートナーシップ戦略の策定に役立つフレームワークを作る、という抽象度の高いお題に取り組みました。既にメディアでも取り上げられている通り、AIやMLは様々な分野で活用され始めており、用途ごとに期待される効果も異なります。例えば、金融では顧客確認やアンチマネーロンダリングの精度向上・稼働削減に伴うコスト削減・リスク減少が挙げられますし、CRMにおいては、顧客分析の精度向上による収益改善が期待されます。

 

こうした先端技術を様々な分野にソリューションとして提供するにあたって、クライアントは以下の2つの課題を持っており、MAPチームにフレームワーク策定を依頼しました。

①パートナーシップ:テクノロジー企業は、異業種の実務的なノウハウやデータソースを必ずしも持っていないため、顧客ごとにカスタマイズしたプロダクトを提供するためには、SIer等のパートナーが必要となることが多い。「どのようなケースで、どのリソースを誰とパートナーシップを組むのが最適か」という問いに対して、クライアントは手探り状態であった。

②プライシング:出来高ベースのプライシング、差別化価値ベースのプライシング、競合の価格との比較によるプライシング、コストベースのプライシングなど、様々な手法がある中で、どのような条件でどの手法が適切か?という問いに対する考え方を整理する必要がありました。

 

最終的には、CTOへの個別インタビューやベンチマーク分析を行ったうえで、パートナーシップとプライシングの意思決定に使うフレームワークを提案しました。

最終プレゼンでは、クライアント側は当然実務に使う意識で参加しているので質問攻めに合いましたが、良い議論が出来たのではないかと思います。

意思決定において、抑えるべきポイントはカバーしており、次のステップとしてクライアント側でより具体化していくとのことでした。

 

プロジェクトのタイムラインは既にShoの投稿に記載されてるので、MAPを通した学びを中心にお伝えしたいと思います。

 

1つ目は、MBAの学びの活かし方です。繰り返しになりますが、今回のプロジェクトのお題はフレームワーク策定でしたので、実例を基にキーとなる要素を抽出してフレームワーク化するという、「具体」と「抽象」を行ったり来たりする日々でした。MBAのケーススタディでも、実例を基にフレームワークやツールを学びますが、それらを実務で使えるのか正直疑問もありました。今回のプロジェクトでは、自分たちのオリジナルのフレームワークを策定するにあたり、Core科目で習ったフレームワークも多数応用しましたので、MBAの学びを活かせる手応えを得られたのは有意義でした。そして、ベンチマーク分析を基に一般化してフレームワークを作る、という0からフレームワークを作ったのも非常に良い経験でした。もちろん、完璧なフレームワークが作れたとは言えませんが、おかげでマイケル・ポーターをはじめ、世に出回っているフレームワークを編み出した人々の偉大さを身をもって実感しました。

2つ目は、様々なリーダーシップスタイルへの気づきです。MAPでは、Michigan Model of Leadershipに基づいて、チームメンバーのスタイルを4種類に分類します。(最初に、チーム内で自分のスタイルを共有しあいます。)各自の特性を知ることで、自分自身のコミュニケーションスタイルを知ると共に、他人のスタイルも理解することができます。この手のフレームワークは抽象的ですし、ややもすると心理テスト的な感じになってしまいますが、MAPでは7週間ほぼ毎日会っていると、お互いのことを理解する中で、たしかにLeadership Modelが当てはまる所も見えてきます。うちのチームは比較的属性がハッキリしている人ばかりでお互いにチームワークに対する考え方が異なり、チームがまとまるために結構な時間を要しましたが、一度まとまってからの爆発力は高かかったです。様々な個性が上手くかみ合うと、チームとして大きな力を発揮することを体感できたのは良い経験でした。社風や国柄はたしかに存在していて、自分の職場では考えられないような仕事の進め方でも、結果的にはプロジェクトは前進しましたので、色んな仕事の進め方があることを体感できてよかったです。

3つ目は、USの大手企業の働き方を体感できたことです。守秘義務があるため詳細は記載できませんが、世界有数のtech企業の事業企画担当と働いて、自分の職場との共通点や相違点も見えました。また、AIやMLが今後どのように世の中に広まっていくのか、逆に企業が広めようとしているのか、多少なりとも肌感覚を持つことができてワクワクしました。

 

正直、純ドメの自分としては、最大の壁は依然として英語力でしたので、抽象度が高い議論は正直しんどかったですが、いい経験になりました。

この秋はLBLEという別のAction Learning Projectに参加します。また折を見て感想をブログにアップしたいと思います!